Profile
マシュー
さん
りそなキャピタル株式会社 関西支社 シニアインベストメントマネージャー
2008 年、りそな銀行に入社。関西の営業店にて主に法人営業に従事したのち、2019年から2年間、りそ なキャピタル株式会社(以下、りそなキャピタル)で勤務。2021年に株式会社りそな銀行(以下、りそな銀行) へ戻り、新規開拓を担う「ファーストペンギン」プロジェクトに参画。現在は、りそなキャピタルで事業承継や 成長支援を目的とした投資業務に携わる。「人との出会い」を大切に、企業の成長に伴走することを信条に、アトツギ支援認定サポーターとして、金融 の枠を超えた伴走型支援に力を注ぐ。

人との出会いを求め、銀行員に
── これまでのご経歴とキャリアについてお聞かせいただけますか?
新卒でりそな銀行に入社し、関西エリアを中心に法人営業を担当してきました。その後、りそなキャピタル への出向や銀行への帰任を経て、現在は再びりそなキャピタルでスタートアップや老舗中小企業への投資 業務を行っています。
大学時代は公務員を目指していました。でも、就職活動を始めた友人から「民間企業も面白いよ」と勧めら れ、試しに商社の選考を受けてみたところ、そこで出会った非常に活気のある人たちに刺激を受け、民間 企業で働くことに強く惹かれるようになりました。
民間企業を目指すにあたって、自分の成長には何が一番重要かと考えたとき、やはり「人との出会いだな」 と。そこで、どんな仕事が最も多くの人に会えるかを考えた結果、銀行員という選択肢が浮かび上がりまし た。
大学を出たばかりの若者が、地域や国を支える中小企業の社長やオーナーと直接会って話ができる。仕事だけでなく、その方の人生経験や苦労話まで聞かせてもらえる。これほど社長やオーナーと深く関われる 仕事はないだろうと思い、りそな銀行を選びました。
全社で共有する「アトツギ支援」の理念
── 人との出会いを大切にされてきた姿勢が、アトツギ支援に繋がる気がします。アトツギ支援認定サポ ーターの存在は、どのようなきっかけで知ったのですか?
当社の相原社長から、「こういった取り組みがあるけど興味ある?」と声をかけてもらったのがきっかけで す。
実は、社内でもベンチャー型事業承継の山野さんが書かれた本が回覧されていて、全員が目を通すよ うになっていたんです。 その本を読んで、既存のリソースから新しいものを生み出すベンチャー型事業承継は非常に良いなと思っ ていたので、すぐに参加したいと伝えました。
私と、東京本社からも1名、第2期のアトツギ支援認定サポ ーター研修に参加させていただきました。
事業承継は、オーナーだけでは語れない。「アトツギの本音」に気づかされた事例
── 実際にプログラムを受講し、どのようなことが一番印象に残りましたか?
一番印象に残っているのは、「事例」のお話を聞いたときです。アトツギが、社長である父親と事業の進め 方で意見が一致せず、最終的に独立したという事例でした。
私も事業承継の相談をオーナーからいただくことがあるのですが、どうしても現社長であるオーナーとの話 がメインで、アトツギと1対1でお話したことがなかったんです。
でも、研修で「会社は未来永劫続いていかなければならない。本当は次を担う方がどうしたいかが大事だ」 という話を聞いて、はっと気づかされました。
オーナーとアトツギが同席する場は何度か経験していますが、並んで座っているときに、アトツギが何かを 言いたいけど言えない表情をされているのを何度も見てきました。カリスマ的な父を前に、内心は悔しい思いがあったり、歯がゆい部分があったんだろうなと、今ならわかりま す。
なんで、もっとそっちにフォーカスできなかったのかなと改めて反省しました。今後は、オーナーの話を 聞くのと同様に、必ずアトツギの話を聞くことにも注力しようと思えたのが一番の収穫でした。
研修内容ではありませんが、AIを使って課題作成をさせていた方がいたことも印象的でした。効率性を追 求するアプローチに衝撃を受けましたし、一方で「正解も王道もない」事業承継だからこそ、多様な考え方 に触れることの重要性を再認識しました。
また、「無理してアトツギになる必要はない」という意見を聞いたことも新鮮でしたね。銀行もVCも、どうしても「どうすればうまく承継できるのか」という目線に縛られて考えてしまいがちですが、アトツギの「親の事業を継ぐより、親を超えたい」というマインドにも触れられたことは、大きな学びとなりました。

「アトツギのビジョン」を重視する営業スタイルへ
── プログラム受講後、お仕事の中で何か具体的な変化はありましたか?
今のポジションが、銀行の営業店の担当者から相談を受けて、投資ファンドを使った解決策を提案するとい う役割なのですが、投資のご相談を受けたときに、「承継後に会社をどう成長させていきたいのか」というア トツギのビジョンをより重視するように変わりました。
単なる財務や決算書の話ではなく、後を継がれる方が どんな成長の絵を描いているのか、というところをより深くお聞きするようになりました。今後も、さまざまな方と出会う中で、より「将来や成長」に軸を置いた仕事をしていきたいです。
弊社グルー プのパーパス『金融+で、未来をプラスに。』にあるように、単純にお金や融資をするだけでなく、我々が関 わることで少しでもプラスの変化に貢献したいと思っています。今日よりも明日が良くなる、そんなお手伝い ができれば嬉しいです。

専門性だけではない「心ある支援」で金融機関のイメージも変えられる
── どんな人にアトツギ支援認定サポーターをおすすめしますか?
金融機関や士業の方々はもちろん、事業承継に関わる可能性がある人であれば、すべて対象になると思います。
このコミュニティに属している人は特に、合理性だけでなく、感情的な部分にも寄り添いたいと思っています。 私も、金融機関の肩書きだけで、世間からは「お金儲けのためでしょ?」と見られることがあります。
でも実際は、お客さまの人生や会社の未来を真剣に考えている人間ばかりなんです。このアトツギ支援という取り 組みを通じて、感情のこもった支援をしたいという私たちの想いが伝われば嬉しいです。
経験と知見を分かち合い、答えなき課題を解決する
── 最後に、これからサポーターを目指す方へメッセージをお願いします。
事業承継は、オーナーやアトツギの数だけ答えのない課題があります。それを解決するには、スキルやテ クニックだけでなく、多様な経験や知見が必要です。
このコミュニティに参加することで、様々なケースを知り、「自分の引き出し」を増やすことができます。同じ志を持つ仲間と情報を持ち合い、お互いの成長を後押しできる。まさに『善意の人々』が集まる場なんです。
事業承継という壮大で、答えのないテーマに挑戦する上で、これほど心強い場所はないと思います。





