Profile
セリナ
さん
グラフィックレコーダー、ビジュアルファシリテーター
フリーランスのグラフィックレコーダー、ビジュアルファシリテーター。描くこと自体よりも、人々の議論や対話をリアルタイムで可視化し、内面にある「想い」を整理・変換することに価値を見出す。地域おこし協力隊や個別セッションの経験を通して、誰にも知られず消えてしまう熱意を「もったいない」と惜しむ強い思いから、アトツギ支援の道へ。グラフィックレコーダーというスキルで、先代と後継者の間にある複雑な想いを繋ぎ、次世代へのバトンを確かなものにする。

現在の仕事と活動内容
──今の仕事と、その活動内容を教えてください。
現在はフリーランスのグラフィックレコーダー、ビジュアルファシリテーターとして活動しています。
具体的には、企業様の議論や対話の場で、リアルタイムに話し合った内容を可視化し、フィードバックすることで、お話を進めたり、深めたりするお手伝いをしています。


「絵を描くのが好きではない」プロの原点
──ユニークなお仕事ですね。グラフィックレコーダーになったきっかけは何でしょうか?
正直、まさかこういった仕事をするとは自分でも思っていませんでした。
周りの方からは「美大出身ですか?」「絵を描くのが好きなんですか?」と聞かれることが多いのですが、実は絵を描くのは全然好きではないんです。
ではなぜやっているかというと、昔から、人から相談を受けたり、話を聞いて整理したりすることが好きだったからです。
仕事のルーツを辿ると、一番大きいのは地域おこし協力隊として離島で活動していた経験です。
そこで地域の方々の観光プログラム作りやイベントをサポートしていました。
ただ、皆さんは目の前の仕事で多忙です。ロングタームで「孫が帰ってこられるように雇用を作りたい」という大きな目標を持ちながらも、ミーティングの途中で「秋祭りは…消防団は…」と話が逸れてしまうことも多々ありました。
私の力になれることは、そんな皆さんの話をまとめ、整理し、当事者である皆さんが自分たちの活動の価値を改めて感じられるように翻訳・変換することでした。
もう一つは、1対1で2時間じっくりと話を聞き、書きながら頭の整理をするというサービスを提供していることです。
頭の中がクリアになると、人はすごくエンパワーメントされる。
この2つの経験から、「人の想いを整理し、伝えやすい形で残す」ことに、自分は貢献できると感じるようになりました。
アトツギ支援に関心を持った「もったいない」の価値観
──アトツギ支援認定サポーターに関心を持ったきっかけは?
根底にあるのは、私自身の「もったいない」という強い関心です。私はたとえばストレングスファインダーという強み診断ツールで資質を見ると「運命思考」と「原点思考」が上位にくるように、過去と現在の接続がすごく気になるんです。
例えば、どんなに良い人間関係でも別れたら「終わり」になってしまうのはもったいない。誰かの熱意や積み重ねてきたことが、誰にも知られずに「なくなる、終わる、消える」のは、どうにかして避けたい。
そんな中で、東京の下町にあるコワーキングスペースで、オーナーである、とある3代目アトツギの方と出会いました。
そこでアトツギの話を聞く中で、先代が守り抜いてきた「想い」を、後継者がどう引き継ぐかという大きなテーマに直面しました。
別のインタビューの機会では、「俺は、会社は親父からの預かりものだから、次の世代に渡すのが自分の務めだ」と語る先代の方の言葉を聞き、この「誰にも言う機械のなかった本質的な想い」を握り合い、次へ繋ぐ手伝いをしたいと強く思ったんです。


「力になれるはずなのに」専門家としての決意
──認定講座を受講し、サポーターになった理由を教えてください。
講座受講前にも、実際にアトツギの支援を試してみたのですが、私には「経営」や「事業」に対する知識が圧倒的に足りませんでした。質問の精度が低いから、出てくるアウトプット(グラフィック)もまだまだ精度が低い。もっと力になれるはずなのに、力になりきれない自分に悔しさを感じました。
そんな時に、アトツギ支援認定サポーターの存在を知り、「知識とスキルを体系的に身につけ、もっと貢献できる自分になりたい」と決意しました。専門家として自信を持ってアトツギをサポートできるようになりたいと考えたからです。
「言葉のハグ」で想いを繋ぐ支援者へ
──講座で得たもの、今後の活動への意気込みをお願いします。
講座で得た最も大きなものは、「アントレプレナーシップ」や「ロングターム(長期目線)」といった概念が、なぜ事業承継において重要なのかという確固たる腹落ちです。
単なる知識ではなく、生々しい事例と共に学ぶことで、それらがアトツギの支援には不可欠だと心から理解できました。
また、認定サポーターの仲間と出会えたことも大きな財産です。共にアトツギを支援していくという仲間意識が生まれ、情報交換や合同での活動も生まれています。
今後の活動としては、私の核であるグラフィックレコーダーとしてのスキルを、アトツギ支援に活かしていきたいと考えています。
私の知人から教えてもらった、「グラフィックは言葉のハグだ」という言葉があります。後継者や先代の言葉を、私が絵や図として目の前に描き出すことで、「ああ、ちゃんと伝わったんだな」と受け止められた実感が生まれる。それがきっと、先代の「想い」を昇華させ、後継者の自信と覚悟に繋がります。
税理士や弁護士といった「実務の承継のプロ」とは別に、私はアトツギと先代の間に立ち、お互いの想いを語る対話の機会をつくり、促す「想いの承継のプロ」として機能したいと考えています。
専門家の皆様と連携し、「継承の想いを整理し、未来へ向かう力に変える」支援を、全国のアトツギに届けていきたいです。






