私がサポーターになった理由

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スモールビジネスを世界の主役へ。freeeの社員が、「長期志向」をもってアトツギ支援に飛び込んだ理由。


Profile

バイク

さん

フリー株式会社

プラットフォーマーとして中小企業の生産性向上を支えるフリー株式会社(freee)。その中心でマーケティングを担うバイクは、なぜ自ら「アトツギ支援」という極めて属人的な領域に飛び込んだのか。家の廃業という自身のルーツ、そして「経済合理性」の先にある「スモールビジネスへの情熱」を重んじるfreee独自の社風。一見対極にある「IT」と「アトツギ」が、バイクの中でどう結びつき、新たな共創の形を生み出そうとしているのか。その挑戦の裏側に迫ります。

バイク屋の二階で育ち、スモールビジネスの光と影を見てきた

――これまでのキャリアと、現在のお仕事について教えてください。

現在はfreeeで、祖業である「freee会計」を中心としたプロダクト群の中長期的な成長戦略を担う組織(GTM:Go-To-Market)に所属しています。マーケティングを中心に、どうすればスモールビジネスの皆さんに本質的な価値を届けられるかを日々考えています。

私の原体験は、実家のバイク屋にあります。幼少期はバイク屋の二階で過ごし、遊び場も店舗という、まさに中小企業の現場で育ちました。

しかし、私が大学生の時に実家は廃業。経営難の影響で家族の関係が悪化し、家が居心地の悪い場所になっていく過程を目の当たりにしました。その経験から、「スモールビジネスを営む側ではなく、支える側になりたい」と強く思うようになり、新卒で帝国データバンクに入社しました。

信用調査員として多くの中小企業経営者と向き合う中で、2025年問題(経営者の高齢化と黒字廃業の危機)の深刻さをデータベースの裏側から見てきました。その後、「スモールビジネスを、世界の主役へ。」というミッションに共鳴し、2020年にfreeeへジョインしました。

――「アトツギ支援認定サポーター」の資格に自ら手を挙げた理由は何だったのでしょうか?

freee会計を再成長させる戦略を練る中で、企業のライフサイクルを考えると、事業承継は避けて通れない、かつバックオフィスの体制を抜本的に見直す最大の機運が生まれるタイミングです。

しかし、アトツギの方々と対話を重ねるうちに、「ここは単なるマーケティングの投資対象として見るべき領域ではない」と痛感しました。アトツギは人生をかけて家業に向き合っており、その悩みは論理だけでは片付けられないほど複雑です。

ITツールという「機能」を届ける前に、支援者としてアトツギが置かれている状況を深く理解し、寄り添うマインドを身につけなければ、本当の意味で彼らの力にはなれない。そう思い、まずは自分自身が認定サポーターとして学び、その価値を体感しようと考えました。

「合理性」の先にある、アトツギの「感情」に伴走する

――実際に講座を受けてみて、どのような気づきがありましたか? 

「効率」を追求するSaaS企業にいるからこそ、アトツギの世界にある「非合理な葛藤」への理解が深まったことは大きな収穫でした。

親族間のコンフリクトや、歴史ある組織の中での孤独。「論理的には正解でも、感情的にはそうはいかない」というシーンにどう伴走すべきか。サポーターとして持つべきマインドセットを学べたことで、これまでの自分に欠けていた配慮に気づかされました。

そして、freeeは一見、非常に合理的でロジカルな会社に見えますが、実は「一見非合理に見えること」を許容し、大切にする文化があります。

そもそも、他社が大企業向け(エンタープライズ)へシフトする中で、効率が悪いとされる中小企業にコミットし続けること自体が、ある種の非合理な選択です。

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉がありますが、freeeには、経済合理性だけでは割り切れない「スモールビジネスへの思い」が根底に流れています。

だからこそ、リードタイムが長く、感情的な寄り添いが必要なアトツギ支援という領域とも、実は非常に相性が良い。アトツギの方々に「今はITを入れるタイミングではない」と誠実に言える、そんな伴走ができるロングターミズム(長期志向)をもった会社でありたいと思っています。

自ら決めた「アトツギ甲子園」へのスポンサードと社内での広がり

――今回、バイクの発案で「アトツギ甲子園」の地方大会スポンサーを決められたとお聞きしました。 

はい。マーケティング予算の采配において、短期的な売上だけでなく、中長期的にアトツギの皆さんの真の伴走者であることを示すために必要だと判断しました。

九州・沖縄、中国・四国・中部と各地方大会に足を運び、昨日も有給を取って関東大会に一参加者として参加してきました。

会社を動かすことで、アトツギ支援の輪を大きく広げることができる。freeeはただの会計ソフトベンダーではなく、皆さんの挑戦を本気で支えるサポーターであるという意思を形にしたかったんです。

――社内でも積極的にこの活動を広めていらっしゃるとか。

今はまだ「草の根活動」ですが、社内SNSや日々の会話を通じて、「アトツギ支援」の重要性を発信し続けています。freeeにはもともと熱い思いを持った社員が多いので、アトツギ甲子園にメンバーを連れて行ったり、イベントに呼んだりすることで、少しずつ仲間を増やしています。

「アトツギマニア」として発信し続けることで、社内でも「この領域なら関に聞け」という空気ができつつありますね。

freeeと認定サポーターが起こす化学反応

――今後、コミュニティや資格をどう活かしていきたいですか。 

アトツギ支援認定サポーターという資格は、アトツギにとっての「目印」です。ITが持つ効率化の力と、認定サポーターが持つ「文脈への寄り添い」が組み合わされば、アトツギの「意味の承継」をより強力に加速させることができるはず。将来的には、freeeが認定する全国の認定アドバイザー(税理士事務所等)の皆さんもこの輪に巻き込み、より多角的な支援体制を作っていきたいです。

――最後に、受講を検討している方へメッセージをお願いします。

この資格は、士業の方だけでなく、事業会社で「会社として何ができるか」を模索している方にもぜひ受けてほしい。

アトツギ支援の現場は、人生をかけて挑戦する人たちの熱量に溢れています。もし迷っているなら、思い切って飛び込んでみてください。

ここには、同じ志を持ち、支援に「異常なまでの熱意」を持つ最高の仲間たちがいます。

中小企業経営に関する論文で優秀賞に選ばれた大学時代