私がサポーターになった理由

VOICE

「アトツギの宿命」をその人らしい人生へ。組織の通訳者が支援現場で体現する「誠実さ」の形。


Profile

デューク

さん

経営者/組織開発ファシリテーター

組織人事コンサルタントとして30年近いキャリアを持つデューク。以前は成長企業の「複雑で対立しがちな声」を組織の形に落とし込んできたプロが、今、老舗企業の「先代とアトツギを繋ぐ通訳者」として奔走しています。アトツギが背負う「宿命」を、いかにしてその人らしい仕事人生へと昇華させるのか。認定サポーター講座での学びを通じて再確認した、支援者に求められる「誠実さ」と、組織の見立ての極意を語ります。




「外の世界」への渇望から始まった、組織とコミュニケーションの探求

――これまでのキャリアと、現在のお仕事について教えてください。

現在は組織人事領域のコンサルティング会社を経営しています。特に最近ではファミリービジネスの老舗企業に対して、理念策定や人事制度設計、チームビルディングなど「組織を育てる支援」をしています。
私の原体験は、幼少期を過ごした鹿児島の田舎にあります。独特な地域文化が根強くはびこる場所で、親戚関係は濃く、若者としては閉塞感のある環境で鬱屈した日々を送っていました。「ほっといて欲しいのに、どうして余計な関りをされるんだろう…」「なぜそんなに集落のまとまりが大事なんだろう…」と悶々とし、やがて「自分は一刻も早く外に出て、この輪から抜け出るんだ!」と強い渇望を持って飛び出したのが、私の社会人人生のスタートです。
運よくリクルートという成長企業に拾っていただき、企業の社内外へのコミュニケーションを企画する仕事に就きました。早くに管理職に昇進させていただいてからは、自分があずかる組織のコンディションを整えることにも興味がわき、その延長で組織人事コンサルの世界へと転身します。
一貫して感じてきたのは「コミュニケーションが繋がると、組織のエネルギーや個人の気持ちよさが劇的に変わる」ということ。当初は上場前後の成長ベンチャー企業の「複雑で対立しがちな声」を形にし、組織の基盤という型を整える仕事に大きなやりがいを感じていました。

――現在は、どのような形でアトツギ支援に関わっているのでしょうか。

一言で言えば「通訳者」です。老舗企業の先代と、30〜40代のアトツギの間に入り、過去から未来へとどう繋いでいくかという場をご一緒しています。
入り口はアトツギ側からの「いよいよ引き継ぐが、なかなかうまくいかない」という相談が多いです。私は「組織屋」なので商売の中身に口を出すことは控えるようにしていますが、商売を動かすための「組織の動かし方」をコーチングやファシリテーションを駆使し、組織施策に置き換えて提示します。
24時間365日の時間の使い方から権限移譲まで、アトツギが「自分らしい経営」に踏み出せるよう伴走しています。

アトツギが「点」から「3次元の人」になった。認定サポーター講座での発見

――「アトツギ支援認定サポーター」の講座を受けようと思った決め手は何ですか?

山野さんの活動は10年前から知っていましたし、FBAA(ファミリービジネスアドバイザー協会)の役員を務める中で、このテーマとの関わりは深かったんです。
ただ、FBAAは全体感を重視するので、アトツギという存在が「点」としてしか見えていなかったと思います。
「アトツギ支援認定サポーター」では後継者に焦点を当てます。全体をとらえることと同時に、個の視点から観ることができれば、より視界はクリアになるはず。ここにどんな「山(課題やメカニズム)」があるのかを体系的に学びたいと思い、受講を決めました。結果、アトツギという人を立体的にとらえるようになったと感じます。

――実際に受講してみて、どのような変化や発見がありましたか?

変化はたくさんありますが、一番は「アトツギ側の極(フェーズやコンディション)」がクリアになったことです。
「生得的(生まれ持ったもの)」と「獲得的(自ら手にするもの)」の成長メカニズムなど、学んだ理論のいくつかを自分のクライアントにも紹介しました。
特に最後のレポート課題(リアルなアトツギの分析)が良かったです。長くお付き合いしている方を講座のフレームで分析してみると、見過ごしていたことや後回しにしていたことも浮かび上がります。自分もアトツギもなんとなくの感覚やこれまでの延長で進めていたことをフレームに当てはめてみる作業は、アトツギ自身や会社を見立てなおす貴重な機会になりました。
「講座が提供する型」を、目の前のクライアントのコンディションに合わせてどう編集し具体化していくかという「形にする作業」の重要性を再認識しました。

ゴードンから学んだ、支援者としての「ホスピタリティ」

――この資格を通じて得られた「最も大きな価値」は何だと思われますか?

講師であるゴードンそのもの、と言えるかもしれません。
彼がアトツギ支援に対して、どれほど真摯に、丁寧に、そして誠実に学んでいるか。その「ホスピタリティ」に触れたことは大きな財産です。
3日間の講座は、あくまで「出会い」でしかありません。そこで得た型や素材を、どう紡いでいくかは支援者の誠実さに委ねられています。
彼のような姿勢を間近で見られたことは、支援者としての学び以上に、目指すべき姿勢の再確認になりました。襟を正すような感覚です。

――アトツギ支援という活動に、デュークはどのようなやりがいを感じていますか?

アトツギは、ある意味で「生まれ持った宿命や制約」を背負わされた存在です。
その宿命に甘んじてあぐらをかくような経営では、社員も取引先も、そしてご本人も不幸にします。残念ながら、いくつかそういう事例もみてきました。私はそういう状態を一掃したい。
一方で、宿命を正しく生かして「自分らしい仕事人生」を紡ぎ始めていくアトツギもたくさんいらっしゃいます。この変化のプロセスをご一緒することで、私自身も勇気づけられます。その方にしかできない成長、そして自分にしかできない貢献が交差する醍醐味を感じます。

支援の「無知の知」を楽しめる仲間を増やしたい

――今後、この資格や学びをどう活かしていきたいですか。

アトツギが「助けを求められる場所」をもっと増やしたいです。
彼・彼女らはまだ、自分たちを助けてくれる理論やサービスがあることを知らない。
時には学びの場であり、時には人との出会いがあり、時には図書館のように「思ってもみなかった本当の自分」に出会える。そんな場を、認定サポーターの仲間と共に作っていきたいですね。

――この資格は、どのような方におすすめしたいですか?

組織開発や対人支援に携わっているプロの人たちにこそ、この領域の特殊性をわかってほしい。知っているかいないかで、アトツギにかける一声が全然違ってきます。
もちろん、税理士や会計士、金融機関など、先代に寄り添って世代交代の貢献をしている方々にも必須の教養だと思います。

――これから受講を目指す方へメッセージをお願いします。

「無知の知」という言葉がありますが、学べば学ぶほど、わからないことが湧いてくる。それがこの領域の面白さです。
その試行錯誤こそが、支援者としての「醸し出す人柄」に通じていくのだと思います。共に学び、アトツギの未来を編集していきましょう。