私がサポーターになった理由

VOICE

「システム」と「対話」のプロが、アトツギに寄り添う。地域を育むために必要な、支援者の「相互補完」


Profile

イトヤン

さん

経営者

北海道札幌市生まれ、福岡県在住。ITエンジニアからキャリアをスタートし、公的団体にて新規事業創出支援やオープンイノベーションに従事。2017年より「Startup Weekend」の運営に深く関わり、起業家教育の最前線で活動。現在は北九州を中心に、補助金事業の伴走支援や、住民と企業の対話を通じた価値共創など、地域の産業振興の「現場」でアトツギや起業家を支え続けている。

「システムエンジニアから地域支援へ」——システムと現場の温度差を埋めるまで

ーーこれまでのキャリアと、現在のアトツギ支援との関わりを教えてください。

私の原点はITの世界にあります。

システムエンジニアだった父の背中を見て育ち、私自身もシステムエンジニアとして様々な企業の課題をシステム開発を通じて解決することを得意としてきました。

北九州の公的機関で新規事業創出支援に関わる中で、単に個別企業のサポートを行うだけでなく「産業を地域の中でどう興すか」という仕組みづくりやオープンイノベーションの領域に足を踏み入れました。

2017年からは、全世界で開催されている起業体験イベント『Startup Weekend(スタートアップ・ウィークエンド)』の運営に携わり、3日間でビジネスを形にする超実践的な場づくりを経験してきました。

さらに2020年には、家業の経営資源を活かした新規事業開発を競う超集中型イベント『アトツギソン』の鹿児島開催を手伝いました。

そこで痛感したのは、行政の支援制度をただ運用するだけでは足りないということ。地域と企業の関係性の中で、いかに「この事業には価値がある」と相互理解を深め、伴走できるか。そしてその経験を次の仕組みづくりに活かせるか。それが今、私がアトツギ支援に注力している理由です。

自分の世界を広げるために——「認定サポーター」の門を叩いた理由

ーーなぜこのタイミングで「認定サポーター」の資格を取得しようと思ったのでしょうか。

地域での支援活動は、どうしても自分の経験だけが頼りになり、自分の知見だけで完結してしまいがちです。

アトツギに対する支援者同士が知り合うきっかけも意外と少なく、伴走の中で求められているサポートを充分に出来ていないと感じることもありました。そんな時、社団のメンバーからこの資格の話を聞き、「アトツギ支援を体系的に学び直したい」「1期生にはどんな志を持つ人たちが集まるのか見てみたい」と強く感じました。

「専門性の掛け算」が生む、アトツギへの揺るぎない敬意

ーー実際に講座を受けてみて、どのような発見がありましたか?

講座を通じて得られた最大の価値は、スキルの習得以上に「アトツギに対する敬意」が深まったことです。

アトツギは家業を守る責任と、自分を表現したいという想いの間で葛藤しています。そんな彼らを、キラキラした面だけでなく、泥臭い部分まで含めて支えようとする仲間と出会えたことは大きな財産です。

また、認定サポーターのコミュニティには、税理士や弁護士など、非常に強い専門性を持つ方々がいます。自分一人で抱え込まず、「ここはあの専門家に繋ごう」という相互補完ができる。この「生態系」の強さを実感できたことで、支援者としての自信にも繋がりました。

「テクニック」ではなく、人の「コア」を具現化する伴走

ーー支援の現場で、どのような瞬間にやりがいを感じますか?

アトツギが、家業という文脈の中で「本当にやりたいこと(コア)」を見つけ、それが市場のニーズと合致して具現化される瞬間です。

彼らはどうしても自分を出しにくい環境にいますが、それを踏まえた上で「何を残していくのか」を一緒に深掘りしていく。

これは単なる経営テクニックの話ではありません。一人の人間としての想いと事業が結びついたとき、ビジネスは爆発的な力を持ちます。

そこに立ち会えるのが、アトツギ支援の醍醐味だと思っています。

孤独な支援者を繋ぎ、経験を積める「座組み」を全国へ

ーー今後の展望と、これからサポーターを目指す方へのメッセージをお願いします。

今後は、認定サポーターがより実践的な経験を積める「場」がもっと増えていくといいなと思っています。

例えばサポーター同士でミートアップをしたり、経験の浅いサポーターが伴走の経験を積むための演習に関われるような座組みを自分たちの手で作っていく。単に資格を取って終わりではなく、切磋琢磨し続けられる環境が理想ですね。

アトツギは孤独ですが、実はサポートする側も孤独です。

だからこそ、自分の持っている知見を閉じ込めず、世の中に提供し、支援者同士で学び合うことが大切だと思っています。

アトツギとの接点がある方は、ぜひ「アトツギの生態系」を知る一歩として飛び込んできてほしい。変な商売っ気はなく、純粋に敬意を持って伴走し合える仲間と出会えるはずです。